2025年7月22日
久しぶりのブログ更新です。モリモト事務所の事務のお静と申します。よろしく。テーマは特に決めていませんが、おのずから法律関係が多くなると思います。平板な教科書的説明は避け、なるべく興味深い話題を取り上げて行きたいと思います。目的地は定めず、そぞろ歩きの細道になるでしょう。
では、始めます。最初の話題は相続です。
1 相続とは何か
相続とは日常普通に聞く言葉ですが、正確にはなんでしょう。法律的には、相続とは、人の死亡をきっかけにして、その人(被相続人)の有していた権利義務その他一切の法的地位が、包括して、相続人に移転することです。
2 相続はいつ発生するか
相続は、人の死亡をきっかけにして、即時に発生します。ある人が死亡すると、その瞬間に相続が生じます。近親者たちの知らない人が相続人にあたる場合、その人も、被相続人の死亡と同時に、即時に、被相続人の権利義務その他の一切の法的地位を受け継ぎます。不動産の場合、相続による所有権移転登記が済んでいなくても、瞬時に所有権は相続人に移転しています。
3 被相続人・相続人同時存在の原則と同時死亡の推定
瞬間的に相続が生ずるということは、被相続人が死亡した瞬間において相続人は生存していなければならない、ということです(被相続人・相続人同時存在の原則)。そこで、たとえば、交通事故で同乗していたA・B夫婦が死亡して、どちらが先に死亡したか分からない、というような場合は、同時に死亡したものと推定され(同時死亡の推定)、AからBへの相続も、BからAへの相続も、発生しない、ということになります。
4 遺産の分割
ところで、瞬間的に相続が生じるとは言っても、それはあくまでも、観念的な理屈の上の話です。親が亡くなって、子A・B・Cが相続した場合、親の財産である土地・建物・株式のどれをだれが取得するかは、直ちには決まりません。すべて、3人の共有となります。従って、例えば土地を売却したいという場合、A・B・C3人全員の同意が必要となります。
では、土地はAの、建物はBの、株式はCの、それぞれ単独所有にしたいという場合は、どうすればよいのでしょう。その場合には遺産分割協議という話し合いをする必要があります。この遺産分割協議は、相続人全員の意見が一致しなければ成立しません。1人でも賛成しない人が居ると成立せず、その場合には、遺産分割の調停や審判に進むことになります。
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